全日本第3戦オートポリス大会 名越哲平、ST1000で2位表彰台獲得

 8月9日に開幕した2020シーズンだが、9月5日・6日に予定されていた第2戦岡山国際大会は台風12号の接近によって中止。9月19日・20日に大分県オートポリスで開催される今回の第3戦が実質上、今年の第2戦となる。

 1年に1回開催されるオートポリスでのレースはほとんどの参加者にとって走行時間が少ないことから、通常はレースウイークの1週間前に事前テストが行われる。しかし新型コロナ感染防止の影響から、走行を支えるコースオフィシャルが集まりにくく、事前テストはなし。さらに通常のレースウイークは、金曜日のフリー走行を経て土曜午前中から各クラスの予選が行われ、日曜日の決勝日となるのだが、土曜午前中もオフィシャルの集まりが難しく、土曜午後から全日本選手権としてのスケジュールをスタートさせるという1日半のスケジュールとなった。
※選手権は予選からがスタートなる(フリー走行は含まれない)

RACE1

RACE2

水野 涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)

「今回は事前テストなしでレースウイークを迎えることになったのですが、これは自分にとって全日本に上がってから初めての経験で、その部分では少し不安がありました。特に今シーズンに関しては新型マシンということでオートポリス用のデータもありませんでしたし、各サーキットすべてに対してイチからデータを作っていかなければならないので、最初のセッションが終わるまで先が読めない状況でした。結果的に金曜日の走行が視界不良ですべてキャンセルとなり、土曜日の午前中のフリー走行から走り始めたわけですが、開幕戦で差を付けられてしまったヤマハ勢との差を詰めることができ、レースを戦える手応えを感じました。予選タイムもアベレージタイムも十分戦える範囲内と見ていました。レース1は3位に終わりましたが、内容的には開幕戦時よりも差を詰めることができましたし、レース2はもう少しその差を詰めようと、日曜日の朝フリーの時間をフルに使ってさらにセットアップを進めました。このフリー走行のセッションも終盤までトップタイムをマークすることができていましたし、自分の中では第2レースが楽しみになっていました。その第2レースはスタートを失敗したのですが、焦らず差を詰めようと自分を抑えながら走っているにも関わらず、コース後半セクションに入ったらトップグループとの距離が思っている以上に近付いているので、このまま落ち着いて走ろうとセーブしていたら2周目に転んでいた、という状況でした。なにが原因なのかはっきりしませんが、ロガーで見ると転倒した箇所は前の周より5km/hほど速かったそうです。シリーズのポイント争いは厳しくなりましたが、目の前の1戦1戦に集中してマシンを速く仕上げ、充実したレース内容にもっていけるようにしたいと思います。」

ST1000

名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO.)

「事前テストなしでレースウイーク入りし、さらに金曜日は視界不良で走れず、土曜日午前中のフリー走行をいきなり走る状況になってしまいました。でもデータがない状態で走り始めた割には感触も良く、元々オートポリスは自分と相性が良いということもあり、セットアップを順調に進めることができました。ただ、時間がない中でセットアップを進めていったので、レースになって他の人にラインを制限されたりという状況になるとセットアップを詰め切れていないところが何箇所か出てきて、苦しかったですね。優勝した高橋選手はチームで事前にテストに来ていたとは言え、セッティング能力的にもタイヤの使い方にしても現状では上です。開幕戦で転んでいるので、今回はまず完走してデータを取ることを最優先にしていましたが正直、差を付けられての2位は悔しいです。でも、開幕戦ではトップグループに付いていくのが精一杯だったけど、今回は単独の2位で、後ろのグループを離すことができましたし、そこは良かったかなと思います。もてぎはこのバイクでシェイクダウンして、JSBのマシンでも走ってるので、今回より良い状態で戦えると思います。」

榎戸育寛(SDG Mistresa RT HARC-PRO.)

「事前テストがなく金曜日に走行あると思ったらそれもなくなり、いきなり土曜日にフリー走行1本と予選となりました。限られた時間の中でセットアップを進めないと行けなかったのですが、フリー走行1本目でまとめられず、それが最後まで尾を引いてしまいました。予選と決勝朝のフリー走行でセットアップを進め、決勝に関しても、スタート自体は良かったけど場所取りがうまくいかなくてトップグループから離されてしまいました。でも表彰台圏内の2位、3位のレース中のタイムを見ると、序盤で自分がなんとかできればそこに絡めたのかなと思いますし、そういう意味では悔いが残るレースになってしまいました。フリー走行1本目をうまく使得なかったのですが、その後にだいぶ修正できて、集団の中に割って入って5位でとりあえずなんとか形にはなった感じです。課題はたくさんあるけど、次戦もてぎまでには対策を考えて、自分自身の課題も今回のレースウイークではっきり分かりましたし、次のレースにどうそれを反映させるか考えていています。結果は5位だけど、完走できたので、そこは最低限クリアです。5位は悔しいですけど。」

ST600

埜口遙希(SDG Mistresa RT HARC-PRO.)

「ほとんど走ったことのないコースでのレースウイークだった割には全体的に良かったと思います。予選も、後追いの形ではありましたが11位で、できれば2列目か3列目には入りたかったのですが、今できることをしっかりやる、という観点からは悪くなかったと思います。決勝朝のフリー走行でさらに状態を良くしようとセットアップを変えたのですが、結果的にはレースで思うようにバイクが進められず、苦しかったですね。でもスタートでうまく飛び出して、1コーナーは5、6番手まで上がれたので、そこまではああいう形が取れれば行けるということが確認できたのは大きな収穫です。次のもてぎは木曜から走行があるので、しっかりと走ってセットアップを進め、さらに上位を目指します。」

本田重樹監督
「ST600の埜口は経験の少ない中で、本人の感じるところをメカさんに伝え、バイクを造り上げていくということに重きを置いて今回のレースに臨みました。本人の欲してる部分が、うまくライディング技術と伴っていないと、今回のレースのようなやり過ぎ感が出てしまいます。レースだと、どうしても無理もする。そうすると、必要以上にタイヤにストレスを与え、タイヤの温度が上がりすぎ、結果として摩耗が早くなります。バイクをしっかりと造り上げていくというところに重きを置くのは良いことなので、自分のライディングとうまく合わせられるよう考え、今後もさらにステップアップしていってほしいですね。とても楽しみなライダーであるのは間違いないです。ST1000の榎戸は今回テストがなく、ぶっつけ本番の中でしたが、その中で精一杯戦いました。マシンが仕上がっていないその中でレースを戦うというリスクを頭で考え、その状況の中でレースをしたことで、結果として攻めきれずに終わってしまいました。それでも5位は悪くないと思います。及第点です。名越も同じ状況、経験の無いバイク、タイヤ、ほぼぶっつけで予選となりました。でも、それなりの感触を得て決勝を迎え、その中で名越のできる、自分の持っているライディングスキルの中でやりきりました。優勝した高橋選手のように幅のある走りができれば結果も変わったはずですが、それは今後に期待します。JSB1000の水野は、レース1の周回数が短いということで、チョイスするタイヤもずいぶん考えたのですが、ライバルのヤマハ2台に遅れたくないので、結果的には同じタイヤを選びました。そのため、結果は想像したようなものとなりました。もう少し攻められるところがあるのかな、と課題が残りましたのでそれをレース2に活かそうと、レース1で出た問題点を反映させセットを進めていったのですが、想像以上に路面温度が低く、早い段階でスリップダウンとなってしまいました。今回出た課題を今後2戦にしっかりと活かし、さらに上を目指したいと思います。」

堀尾勇治チーフメカニック
「ST600の埜口は岡山の事前テストでトップ10に入り、徐々に成長を見せてきています。早く上位グループに入り込ませたいと思いつつ、事前テストがない中でうまく走らせられるようマシンの仕様を考えて持ってきたのですが金曜は走れず、土曜日フリー走行、予選、決勝となりました。予選で自己ベストを更新して伸びてきて、そこからもうひと伸びしないと決勝ではトップ10に入れないので、朝フリーの感触からさらにセットアップを進めて決勝に臨みましたが路面温度が上がり、ペースを上げられずに終わってしまいました。現状の位置は本人にとって不本意な場所なので、もう1ランク、2ランク上げられるようセットアップを進めたいと思います。ST1000の二人は開幕戦を転倒で終わっているので、今回はまずしっかりとゴールしないといけないという使命感を持っていたと思います。名越はSUGOで転倒が続いて少しリズムを崩していたのですが、この得意なオートポリスのコースに来て、鈴鹿のテストで見せていた走りを取り戻しつつありました。でも優勝した高橋選手との差はまだあり、そこを詰めようとトライしましたが、まだ足りませんでしたね。とは言え、今回は高橋選手がが見える位置でゴールできたので、足りない部分はしっかり確認できたと思います。名越の伸び代を我々がどうプッシュさせられるか、しっかり考えてもてぎ、鈴鹿と戦いたいと思います。榎戸はフリー走行1本目でつまずき、迷ってしまいました。レースでやっと本来のリズムを掴みかけましたが、最初がもったないなかったですね。もてぎでは二人とも表彰台上がれるよう頑張ってほしいと思います。JSBの水野はコロナ渦の中、いろんなバイクに乗ってテストしたりもしてて、成長著しい。経験値は誰よりも上がっていると見ています。そういう中で迎えたオートポリスで、トライをしつつ新型マシンの美味しいところを探しています。でもライバルであるヤマハの牙城は高い。今の状況で、100%近いところで走ってくれています。そこに経験がプラスされてもまだライバルに届かないのは、マシン面でのマージンがないところです。それが決勝の展開によっては、第2レースのように、スタートがうまくいかないと、トップ争いを展開するのは第1レースと同じ3台だったから、早く追い付いて良い展開に持ち込みたかったのですが、その前に転倒で終わってしまいました。苦しいレースを強いてしまっているのは明らかなので、良い状態でレースに臨めるよう、さらに色々考えて準備をしていきたいと思います。」